現物が無いのに「消費」?ビットコインと消費税

2017年7月1日以降、日本国内で仮想通貨を売買する際に消費税が非課税となりました。

それまではビットコインなどの仮想通貨は“商品”とみなされていました。
このため、仮想通貨取引所や販売所で仮想通貨を購入する際の販売価格には、金(ゴールド)やプラチナなどの貴金属と同じように消費税が上乗せされていました。
ところがビットコインなどの仮想通貨はコンピュータ上の情報(文字列)で現物は存在しません。

仮想通貨を決済手段として使用して交換された後も、日用品や食品といった商品のように“消費”されて消滅する訳でもありません。
仮想通貨は消費をする“商品”ではないため、消費税が課税される事について矛盾が生じていました。

このような背景から仮想通貨決済法が定められた際に税制改正が行われ、ビットコインや他の仮想通貨の取引時には消費税が非課税となりました。

現在はビットコインの購入時に消費税は課税されませんが、仮想通貨取引などで得られた利益については所得税を申告しなければなりません。

仮想通貨に関係する税金は、株式投資やFX投資とは異なるルールが適用されるので注意が必要です。

日本でのビットコインへの課税ルール

2017年9月に、国税庁は公式サイトの中で、ビットコイン取引で得られた利益に関しての見解を発表しました。
「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」によると、ビットコイン取引で得られた利益は雑所得とみなされることが記されています。

株式投資やFX取引で得られた利益は「申告分離課税」が適用され、本業の収入とは関係なく一律20%(国税15%地方税5%)が課税されます。
ちなみに銀行預金の利息もこれと同じです。「申告分離課税」では前年度の損失を利益と相殺することができます。

ビットコインについては雑所得なので、本業の収入と同じ税率で課税されることになります。
例えば収入が多い人で所得税と住民税の税率が40%の方であれば、ビットコイン取引で10円の利益が出た場合、4円を税金として納めなければなりません。

逆に収入が少なくて所得税と住民税が非課税の方であれば、ビットコイン取引で10万円の利益が出たとしても税金を支払う必要がありません。
雑所得は損失を相殺することができないので、前年度に40万円の損失が出て今年度に30万円の利益が出た場合には、30万円の利益分に対して課税対象となります。

ただし、申告をするのはビットコイン日本円に換金した場合です。

ビットコインにまつわる税金についての国税庁の見解

今までは税務署や税理士によってビットコインの課税方法に見解の違いがありました。

譲渡所得なのか雑所得なのかによって同じ利益があったとしても、納めるべき税金が変わってきます。譲渡所得の場合は最大50万円の特別控除がありますが、雑所得には控除はありません。
20万円までは申告不要という部分ばかりが話題に取り上げられますが、それは1つの会社からのみ給料を得ている給与所得者で、年末調整を行っている人に限ったものです。それ以外の人で確定申告をしている人は雑所得でも課税されることになるので注意しましょう。

総合課税では税率はその人の年収によって変わってきます。
大きな利益を出していると所得税や住民税が高くなるだけでなく、翌年の健康保険料も高くなってしまう可能性があります。
投資をする場合は翌年以降も継続して資金を確保することができるよう、支払うべき税金は別にして管理することが大切です。

消費税についても税制が決まっていませんでしたが、2017年7月1日から仮想通貨の取引における消費税が非課税になりました。

対象となっているのはビットコイン以外にも存在するすべての仮想通貨が対象です。

所得税のかからないビットコイン取引の裏ワザ

税金を払わなくてはならない文、利益が出たとしても実際に手元に残る金額はさらに少なくなってしまいます。

申告分離課税のように損益通算をすることもできませんので、損失を出しても翌年以降の救済措置はありません。しかし、資産を増やしながら支払うべき税金を管理する方法があります。

所得として確定され税金が発生するのは、取引で「円」に換金した瞬間です。
つまりビットコインを購入して長期で運用している間は、どんなに含み益が出ていたとしても税を納める義務はありません

また、仮想通貨を別の仮想通貨に交換した場合も円への換金は行われないため、税を納める義務が発生しないのです。

ポジションの含み益が課税対象でないのは、FXやCFDなどの金融商品でも同様です。
ただしこれらの取引は国内であれば申告分離課税となります。

海外の取引は雑所得扱いになりますので、もしビットコインで利益を出していたとしても、海外のFXで損失があれば合算して申告することができ、税金を抑えるか、損失のほうが大きければ非課税になります。

もし税が発生しているのに申告をしないと、高い追徴課税を支払わなくてはならなくなる場合もあります。
申告は正しい金額で行うようにしましょう。